1978年という年は、カンティヨン醸造所にとって特別な年となった。この年、醸造所をミュージアムとして公開し始めたのである。このグーズランビックは、その1978年のヴィンテージである(未開栓)。
非常に酸味が強く、ボトルによっては、ややローピー(ropy)な個性が認められるだろう。これはブレッタノマイセス酵母の副産物に由来する。個体差が大きいが、概して、1990年代後半までのカンティヨンのような真に荒々しい個性のグーズランビックはもはや存在しない。
このようなランビックと比較すれば、2000年代以降のグーズランビックは、全てソフトなのである。
ラベルによれば、大麦麦芽65%、小麦35%の比率だが、これは40年を経ても変わっていない。
当時、伝統的なランビック生産者はこのような美しいラベルをボトルに貼る習慣はあまりなかった。生産者の多くは、石灰で白く印を付けたものをグーズランビック、赤い印を付けたものをクリークランビックとして出荷していた。これは、当時、広域に商品が流通することを前提としなかったためである。(撮影:2021年4月)
インターブルーがベルビュー醸造所名義で販売した本格的ランビックである。1992年までスケープダール(Schepdaal)で稼働していた傘下のドゥ・ネーヴ醸造所(Brouwerij De Neve)で生産されたものと推察される。
セレクシオン・ランビックは1993~1999年にかけてリリースされ、全てにシリアルナンバーが付けられている。市場に出回ったものの大半は1999年物であるが、稀に他の年も見かける(写真左のグリーンボトル:1993年ヴィンテージ)。
一次保有者が小出しに市場に放出してきたため、2000年代に入っても比較的容易にボトルを見つけることができたが、2019~2020年に最後のボトルを放出したという情報がある。試す機会は激減するだろう。非常に酸味が強く、その上、複雑性に富んだ素晴らしいグーズである。
写真は、ドゥ・ネーヴ醸造所のクールシップがあった場所(2008年頃撮影)。本醸造所は、1772年~1992年まで稼働していた。
1年物(1999年)、2年物(1998年)、3年物(1997年)のランビックをブレンドし、2000年に瓶詰したドリー・フォンテイネン(Drie Fonteinen)のアウド・グーズ(Oude Geuze)。
当時は、ジラルダン醸造所(Brouwerij Girardin)、ボーン醸造所(Brouwerij F. Boon)、リンデマンス醸造所(Brouwerij Lindemans)の3醸造所のランビックをブレンドしていた。
「C」はフラマン語で「残り滓」を意味するCloesjke(kloesjke)に由来している。2000年代に入り、ほぼ全てのボトルが株式会社ヴィナイオータによって日本に輸入されたため、ベルギーを含めて、海外では殆ど入手できず、希少性が高い。(撮影:2020年10月)
ローデンバッハ醸造所(Brouwerij Rodenbach)のバーレイワイン(穀物のワイン=Vin de Céréale)である。ブレンドは一切行っておらず、単一のオーク桶(Vat nr.132)で3年間にわたり発酵させ、アルコール度数は10%(ABV)と同醸造所の品としては異例に高い。
このビールに関するプレスリリースは2007年12月1日に流され、同年に限定20,000本販売された。半数をベルギー国内向けに販売し(醸造所では木箱入りで販売)、もう半数を米国等の国外に輸出したが、日本では見たことがない。
色彩はローデンバッハ・グランクリュなどと比較して明るく、殆どガスはなく、酸度は極めて高い。若いサクランボ、ダイオウグミ、レモンのような、強烈な酸味があり、口をすぼめたくなる。柑橘類の皮のような苦味も含まれている。サワーエールの最高峰の1つだろう。
なお、ナンバリングスタンプでシリアルナンバーが記載されている。(撮影:2021年4月)