NEWS & WORKS


ベルギービール解体新書31

「ビール王国(Vol.42 2024年5月号)」に掲載。

 

ベルギービールの定番ビールの1つにファロ(faro)があります。現代におけるファロは、大雑把に言えば「キャンディシュガー(転化糖)が添加された、ランビック(厳密には、メールツと呼ばれる低比重の若いランビックもブレンドされる)」といえます。しかし、歴史的にはファロの定義には、紆余曲折があり、多くの謎に満ちています。今回は、16世紀以降のファロと呼ばれたビールの系譜をたどってみます。

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(画像:フランク・ボーン醸造所の裏手を流れるゼンヌ川。


ベルギービール解体新書30

「ビール王国(Vol.41 2024年2月号)」に掲載。

 

ベルギーには、― ベルギー以外の諸国と同様に ― 醸造所併設の醸造所直営ホテルや、ビール生産者と深い関わりのある宿泊施設があります。ベルギー現地に赴き、そのようなホテルに泊まることは、「ビール飲み」には特別な体験となります。本号では、「地ビール的体験としての投宿」と題し、幾つかのホテルを紹介します。

 

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(画像:シント・ベルナルデュス醸造所併設の「ブロイウェルスへイス」(Brouwershuis:西フランデレン州ワトゥ)の外観)


ベルギービール解体新書29

「ビール王国(Vol.40 2023年11月号)」に掲載。

 

近年、ランビックの世界で最も劇的に変化している点として、フルーツランビックに使用される果物の種類が夥しく増えていることが挙げられます。本号では、フルーツランビックの小史と、最近登場した銘柄について取り上げています。 

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(画像:ブーレネルフ・エイレンボッシュ[Boerenerf Eylenbosch;Huizingen]の製品)


ベルギービール解体新書28

「ビール王国(Vol.39 2023年8月号)」に掲載。

 

本号では、ビールに意図せず有害成分が混入してしまった事例や、人体に悪影響を及ぼさないと考えられていた成分が、事後的に有害成分として判明した事例について、触れました。

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(画像:1968年にベルギーから報告された「ビール飲みの心筋症」の症例。左は治療前:著しい心肥大を呈していることが分かる。Circulation 1968; 37(5) 854-864.


ベルギービール解体新書27

「ビール王国(Vol.38 2023年5月号)」に掲載。

 

今回は、「ベルジャンピルスナーの系譜」の後編です。戦間期から戦後にかけてのベルギーのピルスナーの歴史を素描し、「ベルギーらしいピルスナーがどのように誕生したのか」を紐解きます。さらに、今後のベルジャンピルスナーの行く末を大胆に占います。

 

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(画像:Leroy Bock[リロイ醸造所]。ピルスナーが誕生する以前にベルギーで流行した独自の淡色ラガー「ボック」。ベルギーのボックは、アルコール度数2%前後で非常に軽いテーブルビールである)


ベルギービール解体新書26

「ビール王国(Vol.37 2023年2月号)」に掲載。

 

「ベルギーのピルスナー」と言えば、多くの人はステラアルトワ、ジュピラー、マースのような銘柄を思いつきます。それでは、「ベルギーらしいピルスナー」とは、どのような特徴を持つピルスナーなのでしょうか。この話題は、近年、ベルギーのクラフトブルワリー界隈で時々耳にする議論なのです。今回は、この話題に先立って、ベルギーにおけるラガービールの黎明期に焦点を当ててみたいと思います。

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(画像:Heineken Experience(旧ハイネケン醸造所:オランダ・アムステルダム)]。ベルギー近隣には、ドイツ、オランダ、チェコなどの名立たるピルスナー大国がある)


ベルギービール解体新書25

「ビール王国(Vol.36 2022年11月号)」に掲載。

 

「クリスマスビールとは何か?」という問いに対し、クラフトビールに詳しい方は、特徴を幾つか列挙できるかもしれません。一方、それらはビアスタイルにまでは限定できない筈です。

19世紀末~20世紀前半のベルギーにおけるクリスマスビールは、そのような「今日のクリスマスビールの特徴」よりも遥かに具体的でした。本号では、ベルギーの古いクリスマスビールとして愛飲されたスコッチエール(ダブルスコッチエール)と、その歴史的背景について取り上げてみます。

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(画像:ベルギーのクリスマスビールと、スティレ・ナハトのポスター)


ベルギービール解体新書24

「ビール王国(Vol.35 2022年8月号)」に掲載。

 

ベルギーには、ゼイトス(Zythos:ジトス)というビール愛好家団体がありますが、その前身にDe Objectieve BierproeversOBP:「客観的ビアテイスター」の意)という団体がありました。OBP は、ペーテル・クロンベック氏(Peter Crombecq )により1984年に立ち上げられ、2002年まで稼働しました。1984年前後は、ベルギービールの新たなマイクロブルワリーの誕生と重なっており、OBPは醸造家たちの活動を支援するなど極めて重要な役割を担いました。本号では、OBP誕生の背景とその活動について、ペーテル・クロンベック氏からの情報を交えながら、振り返ります。

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(画像:OBP の会報誌「Den Bierproevers」の1989年11月号(第17号):筆者所蔵

ラベルの消費期限=賞味期限ではないという啓発の一環として、マスコミを集め、シメイ、ウェストマルなどの垂直テイスティング(最大20年物)を行う。15年間の味わいの変化をみると、強さ(Sterk)が、5~8年目に最も顕著という評価だった。


ベルギービール解体新書23

「ビール王国(Vol.34 2022年5月号)」に掲載。

 

歴史上、ベルギーにはビール消費と馴染み深い形で使用されたブロカント(古道具)が幾つかあります。

それらの存在や使用法は、現代人にとって風変わりであり、価値観を良い意味で裏切る新鮮さもあります。本号では、ベルギーの「蚤の市」を紹介しつつ、そのようなブロカントについて紹介します。

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(画像:蚤の市で集めたストゥンペル:筆者所蔵


ベルギービール解体新書22

「ビール王国(Vol.33 2022年2月号)」に掲載。

 

2011年に「ランビック ―ベルギーの自然発酵ビール」(技報堂出版)を出版させて頂き、10年が経ちました。その間、ランビックの世界には予想外の変化、それも劇的な変化が生じています。

 

今回は、「ランビックの10年」と題し、10年間で起きたランビックの世界における変化を俯瞰するとともに、その背景を読み解きます。

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(画像:HORAL's Oude Geuze Mega Blend 2011のシリアルNo.1:筆者所蔵


ベルギービール解体新書21

「ビール王国(Vol.32 2021年11月号)」に掲載。

 

前回に引き続き、今回もトラピストビールについて書きます。前号ではアヘル醸造所が操業停止となった背景について書きました。一方、スクールモン修道院のシメイ醸造所、サン・レミ修道院のロシュフォール醸造所では、近年、新作ビールが輩出されています。両者は、一見して「衰退」と「繫栄」という言葉で説明できそうですが、実際にはベルギーのトラピスト修道院に共通する問題点があります。本号では、この点について触れたいと思います。

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(画像:ロシュフォール醸造所[Brasserie de l'Abbaye de Rochefort]の研究室。2017年8月撮影

 


ベルギービール解体新書20

「ビール王国(Vol.31 2021年8月号)」に掲載。

 

トラピストビールというと、「中世ヨーロッパ以来の伝統」であるかのように考えられがちです。しかし、ベルギーのトラピストビールの直接的な起源は19世紀にあり、その歴史は比較的浅く、中世に修道院で醸されたビールとの根本的な相違が幾つかあります。

 

2021年1月にはアヘル修道院の併設醸造所が閉鎖されるなど、いま、ベルギーのトラピストビールは岐路を迎えています。本号と次号では、2回にわたりトラピストビールの「成り立ちと現在」を解説します。

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(画像:アヘル修道院を案内するシャルル修道士(Charles)。2016年4月1日に亡くなられた。2013年2月撮影

 


ベルギービール解体新書19

「ビール王国(Vol.30 2021年5月号)」に掲載。

 

ベルギービールの特徴の一つと考えられているフルーツビールは、現在のドイツをはじめ、かつて欧州では盛んに造られていました。

中でも、サクランボを漬け込んだビール(Kriekenbier)は、最もポピュラーなものと考えられますが、古いベルギーの醸造専門書には、明確な理由から、サクランボビールは全く登場しません。

今回は、ベルギーにおけるサクランボビールの位置付けと「伝統」について解説します。

 

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(画像:樽からテイスティング用にクリーケンランビック[Kriekenlambik]を注ぐフランク・ボーン氏。


ベルギービール解体新書18

「ビール王国(Vol.29 2021年2月号)」に掲載。

 

ハラタウ、ザーツ、ゴールディングス、カスケード・・・。色々なビールに興味がある人ならば、十指に余るホップの品種を挙げられるに違いありません。しかし、ドイツ、チェコ、英国、米国などに起源のある色々なホップを知る人でも、ベルギー原産のホップ品種を挙げられる人はどの位いらっしゃるでしょうか?

 今回は、ベルギーにおけるホップ栽培の近現代史を素描しながら、ベルギー原産ホップの歴史について簡単に解説します。

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(画像:Cerenak A et al. Acta agriculturae Slovenica 2009; 93(3): 267-273のTable 1より。2009年にスロベニアのリュブリャナ大学が発行する農業専門誌に掲載された論文に、20世紀に途絶えたと思われていたベルギー原産ホップに関する、新たな発見があった


ベルギービール解体新書17

「ビール王国(Vol.28 2020年11月号)」に掲載。

 

デ・コーニンク、パルム・スペシャルなどのエールは、「ベルギーの特製ビール」という含意を込めて、「スペシャル・ベルジュ(Spéciale belge)」と呼ばれています。しかし、カンティヨン・グーズやロシュフォール10などと比べると、強い個性はなく、「何がスペシャルなのか」と疑問に思う人がいるかもしれません。今回は、「スペシャル・ベルジュ」が生まれた時代背景を辿りながら、その意味をひもときます。

 

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(画像:デ・コーニンクの専用グラスは、ボロカ(Bolleke)と呼ばれ、1952年から使用されている。このエナメル看板は、ボロカが登場して日の浅い時代のものである。筆者所蔵


ベルギービール解体新書16

「ビール王国(Vol.27 2020年8月号)」に掲載。近年、ベルギービールと食事の関係について、一家言を持つ方が増えています。ただし、そのような着想は非常に新しいもので、「その着想を成立させた様々な歴史的条件」があります。

今回は、ベルギービールと食事のマリアージュの歴史的背景について、触れたいと思います。

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(画像:ドゥシェ(1801~1830年)が、ブリュッセルのエスタミネで国歌(La Brabançonne)の詞を客たちと共に作詞する風景(後年のリトグラフ)。ビールと煙草を嗜む紳士たちは描かれているが、この時代に、色々なベルギービールと食事を合わせてみようという者は存在しない)


ベルギービール解体新書15

「ビール王国(Vol.26 2020年5月号)」に掲載。

 

ベルギービールを嗜む人なら、一度は「ベルギーではブドウが収穫できないから独自のビール文化が発達した」という説明を聞いたことがあるかもしれません。

ところが、中世史を紐解くと、現在のベルギーに相当する地域では、広域かつ盛んにブドウ栽培とワイン醸造が行われていたことが分かります。なぜ、このように誤った言説が流布しているのでしょうか。

本号では、「近代と前近代におけるワインやビールの位置づけ」を整理しつつ、20世紀に入るとベルギービールは、多様性どころか、むしろ画一性に傾斜したことを、ヒューガルデン村を例にとりながら、その歴史背景とともに解説します。

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(画像:15世紀にトゥルネー(ベルギー・エノー州)で造られたタペストリー「収穫(Les Vendanges)」の一部。ワイン造りの風景が描かれている)


ベルギービール解体新書14

「ビール王国(Vol.25 2020年2月号)」に掲載。

 

ベルギーの自然発酵ビール「ランビック」。ランビックには、独特の強い酸味と、特徴的なアロマがあります。

このランビックと上面発酵エールをブレンドして製品化した「ブレンデッドエール(versnijbier)」は、19世紀に誕生したといわれています。今回は、ブレンデッドエールの歴史と、最近の注目すべき展開をご紹介します。

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(画像:1ヵ月の最初の土曜日だけ、オープンしているカフェ「ローテルボー」(フラームス・ブラバント州ディースト)。その裏手には、小さな醸造所がある。この醸造所で造られたブロンドエールは、ドリーフォンテイネン醸造所のランビックとブレンドされ、トゥーヴェルボー(Tuverbol)の名称で販売されている)


ベルギービール解体新書13

 

「ビール王国(Vol.24 2019年11月号)」に掲載。

 

前号では、ワロン圏において歴史文書上、無前提に「セゾン」といったとき、それは例外なく、「リエージュ産のセゾンビール(saison de Liège)」を指すことを示しました。それは製法も明確化され、明らかにビアスタイルというべきものでした。一方、今日のセゾンは、様々な意味でセゾン・ド・リエージュとは相容れぬ「もっと曖昧な何か」なのです。「セゾンの謎に迫る<後編>」では、現代のセゾンの主流というべき「エノー州のセゾン」の成立背景とその「曖昧さの起源」に迫ります。

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(画像:ベルギーの工業製品が列挙されている19世紀後半のカタログ(ブリュッセルにて刊行)。エノー州の小都市スヌッフ(Seneffe)における「熟成度の異なるビール」として、「セゾン」、「若ビール」、「老いたビール」が提示されているが、そこには、“saison(bière de garde)“と記載されていた。これは何を意味するのだろうか? Catalogue des produits industriels et des oeuvres d'art, Bruxelles, 1867, p.544、オーストリア国立図書館所蔵


ベルギービール解体新書12

「ビール王国(Vol.23 2019年8月号)」に掲載。

 

セゾン(saison)とは何か? ベルギービールに理解のある人ほど、「セゾンというビアスタイルの曖昧さ」に薄々気付いており、「雲を掴むようなもの」と感じているのではないでしょうか。それは、セゾンに対する無理解というより、セゾンに対する「正確な洞察」なのかもしれません。

 

「セゾンとは何か」を理解することが、様々な理由で困難となった現代では、史実に基づかない、イメージ優位の解説や定義が流布しています。それがセゾンの既成概念として権威化され、その既成概念に「新たな既成概念」の塔が立てられ続けています。

 

本号・次号では、主に19世紀以前のワロン圏の史料を考証することで、「当時の人々にとってのセゾンとは何であったか」を見ていきます。この「前時代のセゾンとは何であったか」を明らかにすることで、現代における「セゾンの概念」の【不完全さ】の遠因が浮き彫りとなるはずです。

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(写真:19世紀のエノー州アルク=エニエールの農場[絵葉書]。多くの人は、セゾンを「農家のビール(ファームハウスエール)」として規定したがっているのだが・・・)


ベルギービール解体新書11

「ビール王国(Vol.22 2019年 5月号)」に掲載。

 

前号では、ジャン・ドゥ・クレルク(Jean De Clerck)教授が、ベルギービールの名作誕生に貢献したことを紹介しました。ドゥ・クレルク以降も、ベルギーのクラフトビール醸造家たちは、このようなアカデミア(学究的世界)と興味深い繋がりを今なお続けています。今回は、「教授たちのベルギービール」の後篇として、この繋がりに光を当てます。

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(写真:旧アルトワ醸造所跡にあるジャン・ドゥ・クレルクの先代教授レオン・ヴェルヘルスト(1872~1955)のレリーフ。醸造家たちの「教祖」と呼ばれた)


JAPAN BREWERS CUP 2019 醸造家のための特別カンファレンス

JAPAN BREWERS CUP 2019「醸造家のための特別カンファレンス」(2019年1月25日(金)@大さん橋ホールステージ)にて、「ビール醸造において木樽熟成に何が期待できるのか?」という観点から、講演をさせて頂きました。

このような機会を与えて下さった藤原ヒロユキ先生に謝意を表したいと思います。

 

40分間という限られた時間の中で、木樽成分の溶出の規定因子、ビールの酸化・変質、発酵とブレンディングについて等、欲張って内容を盛り込んだ結果、分かりにくい内容になってしまったように思います。本内容は、講演後にお寄せ頂いた御質問・御要望を踏まえつつ、データと説明を更に補足させて頂き、講演録として本サイトから冊子として提供させて頂く予定です。


ベルギービール解体新書10

「ビール王国(Vol.21 2019年 2月号)」に掲載。

 

シメイ、オルヴァル、ロシュフォール、デュベル・・・。

ベルギービールがお好きな方ならば、誰もが飲んだことのある古典的銘柄の起源を辿ると、ジャン・ドゥ・クレルク(Jean De Clerck)という1人の大学教授の名前に行きつきます。

今回、次回と2回に分けて、ベルギーにおけるアカデミア(学究的世界)とクラフトビールの繋がりについて解説します。

(写真:ロシュフォール醸造所[ノートルダム・サン・レミ]の地下倉庫。一般公開されることは殆どないが、かつて使用された醸造器具などが現在も大切に保管されている。2017年8月撮影)

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ベルギービール解体新書9

「ビール王国(Vol.20 2018年 11月号)」に掲載。

 

1980年代末頃まで徐々に衰退し続けたベルギーのローカルビールは、近年、復活を遂げているかに見えます。ところが、アルコール度数とビアスタイルの2軸で捉えたとき、オーディナリーに飲まれ続けてきたローカルビールは、いまなお消滅の瀬戸際にあることが分かります。フランダースのブラウンエールである「アウト・ブライン(Oud Bruin)」を例に、この現象を読み解きます。

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想像してみよう。ベルギーのカフェで、アルコール度数5%にも満たないアウト・ブラインのドラフトが、1.8ユーロという値段で未だに飲まれている風景を。

(クヌード醸造所併設カフェ:カジノにて)



ベルギービール解体新書8

「ビール王国(Vol.19 2018年 8月号)」に掲載。

 

かつて、ベルギーの自然発酵ビール「ランビック」には、ストゥンペル(Stoemper)で氷糖を溶かして甘味付けて飲む風習がありました。ベルギーでは、この風習は、ランビック以外にもありました。今回は、古都アールスホット(Aarschot)のサワーエール「アールスホッツ・ブライヌ(Aarschotse Bruine)」の小話をお届けします。

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「復刻版アールスホッツ・ブライヌ」をテイスティングする人々。彼らは、「かつての味わい」を知っている。

 

 




ベルギービール解体新書7

「ビール王国(Vol.18 20185月号)」に掲載。

 

前回に引き続き、「木樽とビール」についてです。今回は、木樽で寝かせたビールの香味を左右する環境の要因、成分などについて、主に科学的な見地からアプローチします。

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パルム醸造所の木樽。アメリカンオーク製の樽をブロンドエールに使用している(2017年8月撮影)。



ベルギービール解体新書6

「ビール王国(Vol.17 2018年 2月号)」に掲載。

 

今回は「木樽とビール 変わりゆく関係」です。歴史上、木樽とビールの関係がどのように変化してきたのかを踏まえつつ、昨今、ベルギービールの世界で木樽が注目されている背景について紹介します。

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ブラッセルズ・ビア・プロジェクト(2017年8月撮影)。



ベルギービール解体新書5

「ビール王国(Vol.16 2017年 11月号)」に掲載。

 

今回のテーマは「エイジド・エールの世界に迫る」です。まるでワインのように、5年、10年と寝かせることができ、実際、その前提で造られたビールが存在します。

今回は、そんなエイジド・エールについて、科学的知見も交えながら解説します。

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「エイジド・エール」で有名なアントワープのカフェ「クルミナトール(Kulminator)」にて(2011年2月撮影)。



ベルギービール解体新書4

「ビール王国(Vol.15 2017年 8月号)」に掲載。

 

今回は「トリプルを生んだ謎の醸造家<後編>」です。アベイビールとトラピストビールの歴史的な結節点を生みながらも、今日では殆ど忘却されてしまった醸造家ヘンドリク・ヴェルリンデン(Hendrik Verlinden)の数奇な半生を取り上げます。

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トラピストビールを名乗るビール「ウィットカップ・デュブルパーテル(1975年製、未開封)」。筆者所蔵。



ベルギービール解体新書3

「ビール王国(Vol.14 2017年5月号)」に掲載。

 

今回は「トリプルを生んだ謎の醸造家<前編>」です。トリプルの代名詞といえばウェストマル・トリプル(Westmalle Tripel)。このビールの誕生の歴史的背景について、原材料や法制的な観点等から迫ります。

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ウェストマル修道院の門(2013年4月撮影)。



ベルギービール解体新書2

「ビール王国(Vol.13 2017年 2月号)」に掲載。

 

前回に引き続き、「赤ビールの謎を解く後編>」です。

フランダース・レッドエールと英国のポーターには、意外にも非常に強い結びつきがあります。今日ではその痕跡を捉える事が不可能なレッドエールに秘められた「ポーターの命脈」について取り上げます。

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ローデンバッハ醸造所のオーク桶(2013年5月撮影)。

 



ベルギービール解体新書1

「ビール王国(Vol.12 2016年 11月号)」に掲載。

 

連載初回は「赤ビールの謎を解く前編>」です。通常、ビールは2次発酵後に瓶詰めされますが、フランダース・レッドエールでは、2次発酵後にオーク桶で3次発酵を行います。その製法と特異な微生物叢に関する話をお届けします。ランビックとの類比が興味深いところです。

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ローデンバッハ醸造所のケットル(2010年1月撮影)。

 



魅惑のランビック

「ビール王国(Vol.10 2016年 5月号)」に掲載。

 

ベルギーの自然発酵ビール「ランビック」に関するインタビュー記事です。

インタビュアーで編集者の西林達磨さんが上手にまとめて下さいました。有難うございました。

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カンティヨン醸造所のバリック(2011年12月撮影)。


荻上チキ・Session-22

2015年5月12日放送 TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」の「Midnight Session(23:55~)」に出演。

「ベルギービールの魅力」について、1時間ほど話してきました。

 

お詳しい方には「基本的な内容」かもしれませんが、「少し変わったベルギービール」についてお話ししてきました。

 

ご紹介したビールはこの4本です。


ランビック

「ランビック ベルギーの自然発酵ビール」が技法堂出版より刊行されました(2011年6月発刊)。序文は、ランビック復刻の立役者の一人であるボーン醸造所(Brouwerij Boon)のフランク・ボーン氏に寄稿して頂きました。

 

【コンテンツ】

第1章 ランビックとは

 1 ランビックの基礎知識

 2 古代の酒としてのランビック

 3 ランビックの起源

 4 ランビックのさまざまなサブタイプ

 5 ストレート・ランビック

 6 グーズ

 7 クリーク

 8 クリーケンランビック

 9 フランボワーズ

10 その他のフルーツランビック

11 ファロ/メールツ

12 実験的なランビック

13 ランビックをブレンドしたエール

14 伝統的ランビックと商業的ランビックの相違

15 ランビックとその盛衰

16 伝統回帰への流れ

 

第2章 ランビックの制度的定義

 1 ベルギーにおけるランビックの法的定義

 2 EUにおけるランビックの定義(TSG)

 3 HORALの活動

 

第3章 ランビックの醸造学

 1 ランビックの原材料

 2 糖化の原理

 3 糖化・煮沸のプロセス

 4 ランビックにおける糖化・煮沸の要請

 5 冷却

 6 樽詰め

 7 発酵プロセスの概要

 8 第1段階:エンテロバクター属の細菌による発酵

 9 第2段階:サッカロマイセス属の酵母(酒造酵母)による発酵

10 第3段階:ペディオコッカス属の乳酸菌による発酵

11 第4段階:ブレッタノマイセス属の酵母による発酵

12 その他の微生物の意義

13 グーズにおける発酵

14 グーズの微生物

15 クリークにおける芳香成分とは

 

第4章 ランビックの生産者と銘柄

 1 カンティヨン

 2 ジラルダン

 3 ボーン

 4 リンデマンス

 5 モール・シュビット

 6 アウト・ベールセル

 7 ドゥ・トロフ

 8 ティママンス

 9 ドリー・フォンティネン

10 ハンセンス・アルティザナル

11 ドゥ・カム

12 ベルビュー

13 各生産者の樽のマーク

 

第5章 ガストロノミーのなかのランビック

 1 長期の保存

 2 サーブの温度

 3 サービング

 4 グラスとその洗浄

 5 ランビックの多様な飲み方

 6 ランビックにおける食とのペアリング

 7 ランビックを用いたベルギー料理の例

 

巻末資料1 失われた生産者

巻末資料2 日本国内でランビックを楽しむために

巻末資料3 ベルギーでランビックを楽しむために

巻末資料4 フランク・ボーン氏の序文(原文)

 

 

引用文献

 

出版社HP

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背景写真:真夏のオーステンドの夕陽/Zomer zonsondergang in Oostende(撮影:山本高之)